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Ponsse社、Visual Components OLPで林業機械の生産効率を向上

林業機械の製造で業界をリードするPonsse社は、Visual Componentsのロボットオフラインティーチング(OLP)ソフトウェアを導入したことで溶接の生産性を向上させています。これまで10日間必要だったロボットのティーチング時間を1日に短縮し、溶接設計を生産前に検証できるようになりました。多品目小ロット生産を行うPonsse社にとって、OLPの導入は、カスタマイズ可能なモジュール式機械を、より迅速かつ高品質で提供するための支えとなっています。

顧客第一の林業機械製造

Ponsse社は1970年にフィンランドで設立された、林業機械業界の世界的パイオニアです。ヴィエレマに40,000m²の工場を有し、環境に配慮した短幹集材用林業機械を専門としています。1,800名以上の従業員を擁して40カ国で事業を展開し、ハーベスターやフォワーダーといった多様な機械を製造しています。イノベーションを1つのコアバリューとして掲げており、進化し続けることで持続可能な林業の推進を目指しています。

Ponsse社が製造する機械は高度なモジュール式で、顧客ごとにカスタマイズができます。1台ずつオーダーメイドで生産され、それぞれの機械が顧客のニーズに合わせて構成されます。こうした高いレベルのカスタマイズを行いつつ生産性も維持するためには、自動化と柔軟なロボットティーチングが不可欠です。顧客の需要に応えるため、Ponsse社は年間約1,000台を製造し、年に約1基のロボットステーションを新しくコミッショニングしています。

A Ponsse forestry machine at work in the woods

溶接の生産性向上を目指した、高速なロボットオフラインティーチング

要求の厳しい生産環境では、溶接の自動化が生産性向上の鍵となります。そのためPonsse社は、これまで一貫して溶接プロセスの開発を重視してきました。生産工程の自動化を推進する取り組みの中で、ロボット溶接を導入したのは15年以上も前になります。

Ponsse社が生産工程にロボット溶接を導入した当初、ロボットティーチングが複雑で時間がかかることが課題となっていました。ティーチングはティーチペンダントを使用してオンラインで行われ、ティーチングが完了するまでロボットを2週間停止しなければなりませんでした。この停止期間は製造プロセスの遅延につながるリスクがあり、コスト面で大きな影響がありました。

生産量が増加するにつれ、手動でのティーチングは困難になりました。現場でティーチペンダントを使ってティーチングするより、オフィスでティーチングする方が簡単です。

Ponsse社、Head of Robotics Team、Asko Haataja氏

こうした課題に対処し、ロボットティーチングの時間を大幅に短縮するために、Ponsse社はオフラインティーチングの専門知識を持つパートナーを必要としていました。その結果見つけたソリューションが、Delfoi Robotics(現在のVisual Components OLP)が有するオフラインティーチングの専門知識と、Visual Componentsのプラットフォームでした。

当社では、設備の80%がロボットで溶接されています。これらのロボットのオフラインティーチングにおいて、当社のパートナーは初期段階からVisual Componentsです。当社のニーズに応えるべく、Visual Componentsのソフトウェアは継続的な進化を続け、それが私たちの成長を支える基盤となっています。同社のプロセスに関する専門知識は大幅に向上しており、その柔軟で迅速な対応には常に信頼を寄せています。

Ponsse社、Production Development Manager、Heikki Selkälä氏

Ponsse社は自社の製造プロセスに高い基準を設けており、パートナーにも同様の水準の顧客志向、長期的なコミットメント、信頼性を求めています。Visual Components Robotics OLP(旧Delfoi Robotics)のソフトウェアは、2007年から継続して、この要件を満たしてきました。

自動化の活用を促進し、持続的な生産を強化

Visual Components Robotics OLPを活用することで、複雑で厳しい基準が求められるPonsse社の生産プロセスにおいても、ティーチングを1日足らずで完了させることができます。プログラムは安川電機製のロボットで実行され、曲線的な溶接やフレーム構造内の溶接を含む、林業機械フレームの溶接を行います。

オフラインティーチングのメリットを、日々実感しています。最大のメリットは、ロボットティーチングを生産ライン外で実施できることで、生産を停止せずに作業をよりスピーディーかつ容易に進められる点です。以前は、生産を再開する前の週末に、必要な調整作業を実施していました。ティーチングに10日間かかっていましたが、今では1日で完了できるようになりました。

Ponsse社、Head of Robotics Team、Asko Haataja氏

シミュレーションソフトウェアによる溶接設計の検証

Ponsse社は、オフラインティーチングに加えて、ロボットティーチングとシミュレーションソフトウェアを使用して溶接設計の実現可能性、溶接可能性、および到達性を評価しています。製品開発と並行して溶接設計をテストすることで、溶接プロセスの効率を高め、到達が難しい場所でも動作できるようにしています。これにより、手動で溶接が必要な箇所を大幅に削減し、ロボット溶接の利用率を最大限高めることができています。

新しいフレームはすべてVisual Components OLPのソフトウェアでチェックしています。板材を手配して生産を開始する前の段階で、溶接性に問題がないことを確認できるため、エラーを大幅に削減し、製品の品質向上につなげることができました。

Ponsse社、Production Development Manager、Heikki Selkälä氏

ロボットオンラインティーチングでは、溶接部品の「隠れた部分」が作業者に見えず、手動で溶接しなければならない場合があります。しかし、オフラインティーチングでは、作業者がCADモデル内で製品を確認できるため、内部の隠れた部分をロボットで溶接することができます。これにより、自動化の割合が大幅に増加し、手動で溶接が必要な箇所が大幅に減少するため、生産のリードタイム全体が短縮されます。

Visual Components Robotics OLPは、当社のニーズに非常に適したカスタマイズ性と機能を備えています。視覚化可能なプラットフォームは実用性が高く、コードを用いることで通常は手動操作が必要な作業もロボットで実行できます。特に多軸ポータルによる溶接のように、一般的なソフトウェアでは対応が難しい作業においても、Visual Componentsの柔軟性と迅速な対応は大いに役立っています。

Ponsse社、Production Development Manager、Heikki Selkälä氏

新製品の導入時だけでなく、既存プログラムの改善にもVisual Components OLPが活用されています。継続的な開発に取り組むPonsse社の姿勢が、ここに表れています。

ロボットステーションの設計と、複数ブランドのロボットのキャリブレーションを効率化

Ponsse社では、新しいロボットセルを計画する際、ロボットのコンセプト設計から稼働するプログラム作成まで、Visual Componentsを活用しています。新しいロボットレイアウトの設計は反復的なプロセスですが、Visual Componentsをレイアウト設計ツールとして使用することで、特定のロボット構成や製造する製品に最適なレイアウトを定義できます。オールインワンのVisual Components Robotics OLPは汎用性が高く、あらゆるロボットブランドに対応できるため、Ponsse社が多様な製造業者の産業用ロボットを活用する際にも役立っています。

新しいロボット溶接ステーションの設計が始まると、ソフトウェアでステーションのデジタルレプリカをモデリングし、部品の溶接可能性をテストします。投資が決定された後、Visual Componentsに連絡を取り、計画の完成に向けて進めていきます。

機械が工場に到着する前に、すべてのティーチングを済ませます。設置後にキャリブレーションと微調整を行い、ロボットコントローラーへアップロードします。

Ponsse社、Head of Robotics Team、Asko Haataja氏
Visual Components Robotics OLP上で3軸ガントリーに配置された、ABB社製の溶接ロボット(提供:Ponsse社)

Visual Components Robotics OLPの高度なシミュレーション機能を活用することで、ロボットプログラムを生産に投入する前に正確に検証できます。ロボットステーションの最終段階であるコミッショニングでは、設計したロボットセルのキャリブレーションを行い、プログラムの正確な動作を確認することで、より迅速な生産開始を実現します。Ponsse社が保有する複数のロボットステーションは、株式会社安川電機とABB社製で、すべてオフラインティーチングにより運用されています。

Visual Componentsの迅速な対応の例として、コロナ禍という異例な状況下で、リモートキャリブレーションを開発し、オフラインティーチングを可能にしたことがあります。これにより、どこにいても仮想的にロボットのキャリブレーションが行えて、遠隔でアドバイスを受けられるようになりました。

Ponsse社、Head of Robotics Team、Asko Haataja氏

Visual Componentsをパートナーに迎えたことで、Ponsse社は大幅な時間の節約に成功するとともに、生産性の向上や自動化の最大活用、さらに迅速かつスムーズなロボットティーチングによるロボットステーション計画の合理化を実現しました。この事例からは、林業機械業界を世界的にリードするPonsse社が、Visual Components Robotics OLPの導入によりイノベーションと生産性の追求を続け、トップの地位を維持していることがうかがえます。

Visual Componentsについて

Visual Componentsはシミュレーションの専門家チームによって設立され、20年以上の実績を持つ3D製造シミュレーション業界のパイオニアです。数々の主要ブランドから信頼される技術パートナーであり、製造プロセス設計とシミュレーションを実現するシンプルで迅速、かつコスト効率の高いソリューションや、高速で正確、かつエラーのない産業用ロボットのティーチングを支援するロボットオフラインティーチング(OLP)技術を、機械メーカー、システムインテグレーター、製造業者に提供しています。

当社のソリューションを活用するメリットについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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