導入初日から業務効率とROIを最大化:Duun Industrier社、Visual Components OLPで溶接ロボットセルのオフラインティーチングを実施
ノルウェーの重機メーカーであるDuun Industrier社は、2013年に北欧最大のロボット溶接ステーションを導入しました。2014年からはVisual Componentsのロボットティーチングを活用しており、2024年には小型製品向けに新たなロボットステーションを導入しました。Visual Components OLPソフトウェアによるオフラインティーチングにより、溶接ロボットセルは初日から稼働し、手戻りも最小限に抑えられました。その結果、ハードウェアとソフトウェアの双方でROI(投資利益率)の向上を実現しています。

高品質、イノベーション、高効率――1956年から続く優れた製品開発
Duun Industrier社は9,000m²の施設を持ち、高品質な製品の自社開発・設計・製造を行っています。2013年には北欧最大のロボット溶接ステーションを導入し、イノベーションに取り組む積極的な姿勢を示しました。160万ドルの投資で導入されたこのステーションは、安川電機製の溶接ロボットを2台備えたポータル構造となっており、それぞれ11軸のサーボ制御と2台のハンドリングマシンを搭載しています。
製造能力のさらなる向上を目指し、Duun Industrier社は2014年以降、ロボットセルのティーチングにVisual Componentsを活用してきました。2024年には、小型製品向けに新たなロボットステーションを導入することで、事業を拡大しています。
導入初日からの稼働開始を目指した溶接ロボットセル
新規の溶接ロボットセルを、導入後すぐに稼働させる必要があったDuun Industrier社は、Visual Componentsのロボットオフラインティーチング(OLP)ソフトウェアを採用しました。
既存のロボットセル設備へ悪影響を及ぼすことなく、可能な限り早く新規のロボットセルへのティーチングを開始することが重要でした。実機の納入までには約1か月ありましたが、安川電機製のArcWorldロボットセルを初日から稼働させられるように、できるだけ速やかにティーチングを始める必要がありました。
Duun Industrier社、CTO、Rolf Even Duun氏
Duun Industrier社では、従来、ロボットティーチングは設置後にしか開始できず、生産の遅延やリードタイムの長期化につながっていました。Visual Components OLPを採用することで、設置前からロボットティーチングを始めることが可能になり、スムーズに生産業務へ移ることができるようになりました。また、ロボットセルの納入直後から稼働を開始できたため、最小限のダウンタイムで最大限の効率化を実現しました。
さらに、溶接セルの仮想モデルを使用することで、ロボットの納入前に溶接プログラムのシミュレーション、テスト、改修を実施することができました。Visual Components OLPは、ゼロ位置や回転方向といった、全ロボットとワークピースポジショナーに関わるロボットセルの運動学的構造を把握し、正確なレイアウトをソフトウェア上に構築しました。これにより、仮想空間での運用をシームレスに実現する、精度の高い効果的なロボットプログラムを作成することができました。
設置前ティーチングが実現した、迅速な稼働開始とROIの向上
ロボットセルの実機納入後に必要な作業は、仮想モデルと実環境を整合させるための軽微なキャリブレーションのみでした。最終的な調整が済んだ段階で、ロボットは即座に溶接を開始し、その後で必要となった修正も最小限でした。その結果、Visual ComponentsソフトウェアのROI(投資利益率)はロボットティーチングの段階から発生し、ハードウェアのROIもロボットセル導入直後から効果を発揮しました。
微調整の必要性をなくす、あるいは大幅に減らすことが、溶接ロボットティーチングにおける目標の一つです。
Duun Industrier社、CTO、Rolf Even Duun氏
オフラインティーチングを導入したことで、新規ロボットシステムの立ち上げに必要となる時間が大幅に短縮されました。ティーチングを設置前の段階から始められるため、生産を一時停止する必要がなくなりました。新規ロボットプログラムはシミュレーションで検証済みのため、新製品の溶接を始めると同時にすぐに稼働を開始できます。
ナレッジデータベースを活用した高品質・高効率・納期厳守の生産
ロボットオフラインティーチングを採用したことにより、Duun Industrier社は溶接の品質を高水準に保ったまま、生産性を飛躍的に高めることができました。除雪機など、市場投入のタイミングが重要になる季節製品を扱う企業にとって、このメリットは非常に大きな意味を持ちます。オフラインティーチングでは、新しい溶接ロボットプログラムの開発・検証は生産ライン外で実施されるため、ダウンタイムなしでスムーズにロボットセルに移行することができました。

最高品質の溶接を保証するという、Duun Industrier社の熱意を支えるのは、Visual Components OLPが構築するカスタムデータベースです。データベース内のWPS(溶接施工要領書)ライブラリには、最適化された溶接手順が蓄積されており、各製品に適した工程を容易に再現できるようになっています。


これは単なるデータベースではなく、スキルのある現場スタッフ達がその知識を互いに共有し、成長し続けることを目指した連携用ツールでもあります。データベースで実現するこのチームワークこそが、Duun Industrier社のロボットオフラインティーチングを成功に導いた原動力です。現場スタッフ同士が専門知識を共有し、絶えず改善を図っていくという姿勢が、同社が掲げる高い溶接基準を維持していくために欠かせない要素となっています。
Visual Components OLPソフトウェアを業務に統合したことで、Duun Industrier社は生産プロセスの効率化を実現するとともに、品質向上とイノベーションへの取り組みをさらに強化しました。効率の最大化とダウンタイムの最小化、そして迅速な投資回収を実現し、製品を常に市場投入のタイミングに合わせて提供できる体制を維持しています。さらに、オフラインティーチングの活用は継続的な改善を促進します。このことが、Duun Industrier社の品質を着実に高め、重機・設備製造業界のリーダーとして持続的な成功を推進する力となっています。
Visual Componentsについて
Visual Componentsはシミュレーションの専門家チームによって設立され、20年以上の実績を持つ3D製造シミュレーション業界のパイオニアです。数々の主要ブランドから信頼される技術パートナーであり、製造プロセス設計とシミュレーションを実現するシンプルで迅速、かつコスト効率の高いソリューションや、高速で正確、かつエラーのない産業用ロボットのティーチングを支援するロボットオフラインティーチング(OLP)技術を、機械メーカー、システムインテグレーター、製造業者に提供しています。
当社のソリューションを活用するメリットについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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