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モデルベースエンジニアリングで、ロボットオフラインティーチングの自動化を次のステージへ

モデルベースエンジニアリングでは、設計段階で定義された寸法や公差などの製造情報を、そのまま製造プロセスに活用できるため、設計と製造の連携がこれまで以上にスムーズになります。Capvidia社のツールを使えば、溶接情報を含む検証済みの製造データをエクスポートし、Visual ComponentsのOLPソフトウェアでそのまま利用できます。この連携により、ロボットティーチングの工程全体が自動化され、より速く、正確に進められるようになります。

ボトルネックを解消する、次世代のロボットティーチング

製造現場では今、かつてないほどのスピードと精度が求められています。多くの企業がこうしたニーズに応えるため、熟練労働者の経験に頼るのではなく、ロボットの導入や作業の自動化を進めてきました。ところが、その自動化を支えるロボットのティーチング作業自体が、現場に新たな負担をもたらしています。特に、ロボット溶接のような複雑な工程では、ティーチングが生産全体のボトルネックとなるケースも少なくありません。Visual Components OLPソフトウェアは、対応するCADモデルに含まれる製造情報(PMI)をもとに、ロボットの動作パスを自動生成できます。これによりティーチング作業が大幅に効率化され、ロボットティーチングの自動化を次のステージに推し進めることができます。

モデルベース定義(MBD)は、寸法や公差などの製造情報を3Dモデルに直接組み込む手法です。この3Dモデルを、設計から製造まで共通の情報源として活用するという考え方が、モデルベースエンジニアリング(MBE)の基本にあります。本記事では、MBEがロボットオフラインティーチング(OLP)の自動化をどのように次の段階へと進化させるのか、その具体的な仕組みと、Visual ComponentsおよびCapvidia社製ツールが果たす役割についてご紹介します。

手動から自動へ:進化するロボットティーチング

これまでのロボットティーチングでは、2D図面や不完全な3Dモデルをもとに、現場でティーチペンダントを操作して、動作パスをひとつひとつ手動で定義する方法が一般的でした。その後、オフラインティーチングは、生産ラインを止めることなくシミュレーション環境でのティーチングを可能にし、ダウンタイムや人的ミスの削減に貢献してきました。

そして今、モデルベースエンジニアリングの導入によって、ロボットティーチングはさらなる進化を遂げようとしています。製造情報があらかじめ組み込まれたCADモデルを活用することで、ティーチング作業の多くをソフトウェアで自動化できるようになり、これまで手作業に頼っていた工程の負担が大きく軽減されます。その結果、セットアップはよりスムーズになり、設計変更にも柔軟に対応できるようになります。手戻りのリスクも抑えられ、多品種少量生産に求められるスピードと柔軟性にも、しっかり応えられる体制が整います。

モデルベースエンジニアリングの重要性

モデルベースエンジニアリングとは、注釈付きの3Dモデルを活用して、設計から計画、製造に至る各プロセスを推進する手法です。その中心になるのは、製造に必要な情報を3Dモデル内に直接記述するモデルベース定義と、それを支える基礎データとなる製品製造情報(PMI)です。PMIには、溶接記号、公差、使用材料、加工条件などが含まれます。

ロボットティーチングを自動化するには、PMIが正確で完全であること、さらに機械が読み取れるよう適切に構造化されていることが不可欠です。ここで重要な役割を果たすのが、Capvidia社のMBDConnectです。このソフトウェアは、ネイティブCADファイルからPMIを抽出し、QIFなどの中立フォーマットに変換することで、QIFやSTEP AP242といったオープン標準に準拠したデータ整理を可能にします。こうして変換・検証されたデータは、ロボットティーチングを含む後工程にも、一貫性を保ったままスムーズに引き継がれます。

さらに、Capvidia社のMBDVidiaを使えば、製造や自動化を担当するチームが、3DモデルにPMIが正しく含まれているかを確認しながら、モデル内に定義された特徴の一覧(BoC)を視覚的に把握できます。検証が完了したデータは、そのままVisual ComponentsのOLPソフトウェアに取り込まれ、それをもとにロボットの動作パスが自動的に生成されます。これによって、ワークフロー全体が高速化され、手作業に頼っていたプロセスを大きく削減できます。

MBDを活用したロボットティーチング導入の流れ

モデルベースエンジニアリングを導入すると、設計から製造まで、すべての関係者が共通の3Dモデルを参照できるようになり、各工程の連携が格段にスムーズになります。

モデルベース定義が設計と生産をつなぐ

それでは、実際にMBDを使ってロボットティーチングをどのように進めていくのか、その具体的な流れを見ていきましょう。

ステップ1:3D設計者 – 定義は一度だけ

設計者は、溶接記号や幾何公差、寸法、材料仕様といった製造情報(PMI)を含む3D CADモデルを作成します。その後、Capvidia社のプラグインを使ってPMIをQIF形式でエクスポートし、内容の検証を行います。MBDVidiaを使えば、モデル内のすべてのPMIが「特徴一覧(BoC)」として可視化されるため、設計意図がより明確に伝わります。これにより、製造エンジニアやロボットエンジニアも、設計者の意図を理解しやすくなります。

ステップ2:製造エンジニア – 生産環境の準備

製造エンジニアは、検証済みのQIFモデルをVisual Componentsにインポートし、治具の定義、部品の配置、ロボットセルのレイアウトなど、生産環境の構築を進めます。同時に、インポートされたPMIに必要な情報が正しく含まれているかどうかを確認します。

ステップ3:ロボットエンジニア – ソフトウェアに任せて効率化

Visual ComponentsのOLPソフトウェアは、QIFモデルや対応CAD形式からPMIを読み取り、そこから溶接定義を取り込むことで、ロボットティーチングの最初の工程から自動化します。続いて、溶接パラメーターの設定と最適化、溶接経路やシームサーチ経路の生成と調整、溶接順序の最適化、経由ポイントの解決、ポストプロセスまでをすべて自動で実行します。エンジニアの役割は、結果を確認し、必要があれば動作を微調整することに変わります。もはや手動でのティーチングは必要なくなるのです。

ステップ4:オペレーター – あとは実行するだけ

オペレーターは、完成したプログラムをロボットセルに読み込むだけで作業を開始できます。Visual ComponentsのOLPソフトウェアは、検証済みのPMIデータに基づいて最適なプログラムを自動生成するため、精度が高く、エラーの心配もありません。安心して生産を開始できます。

MBDを活用したロボットオフラインティーチングを実現するには

このワークフローを実現し、MBDのメリットを最大限に活かしてロボットの自動化を進めるには、次のような環境が必要です。

製造工程全体へ広がる、MBDを活用したロボットティーチング

ロボット溶接は、MBDを活用したロボットオフラインティーチングの中でも、即効性が高い分野です。ただし、ロボットオフラインティーチングは溶接に限らず、自動検査やロボット組立、品質管理など、他の工程にも幅広く応用できます。検証済みのPMIを含む3D CADモデルは、埋め込み型であっても補足ファイル形式であっても、既存のデジタルワークフローにそのまま組み込むことができ、再利用可能なデジタル資産として製造プロセス全体の効率化に貢献します。

モデルベースエンジニアリングで、製造現場はよりスマートに、そしてスピーディーに進化します。Capvidia社のソリューションがPMIの変換と検証を行い、Visual Componentsがそのデータをもとにロボット動作パスを生成することで、設計と製造の連携をスムーズにします。

ロボットティーチングは、従来のオフラインの枠を超え、「モデル駆動型」へと進化しています。Visual Componentsは、ロボット溶接をはじめとするさまざまな分野で、モデルベースエンジニアリングの実現をリードしています。

MBDを活用したロボットティーチングの導入をご検討の方は、ぜひお問い合わせください。

Further reading

Visual Components OLPソフトウェアで実現する、ロボットオフラインティーチングの自動化

Visual ComponentsのOLPソフトウェアは、製品製造情報(PMI)を活用してワークフローを効率化し、ロボットの手動ティーチングを不要にします。ワンクリックでのティーチングから、モデルベース定義(MBD)による完全自動化まで対応可能で、エラーの削減や生産スピードの向上を実現します。これにより、設計から製造までの連携もスムーズに行えます。

Visual Components OLPソフトウェアによる製造プロセス向けロボットティーチング

ロボットティーチングはオフライン化によって大きく進化しました。仮想空間で動作を最適化できるため、生産を止めることなく、ダウンタイムの削減や精度向上、溶接・塗装・加工・組立といった工程を、よりスムーズに進められるようになります。また、現場作業者がティーチングスキルを身につけることで、自動化の効果を最大限に引き出し、安定した生産体制の構築にもつながります。

多品目小ロット生産ラインの効率を高めるロボットオフラインティーチング

段取り替えが頻発したり、小ロット生産が続いたりすると、生産性が下がると考えられがちですが、必ずしもそうではありません。ロボットオフラインティーチング(OLP)を活用すれば、生産を止めずに、従来の10倍の速さでティーチングが行えます。この記事では、需要の変化に柔軟に対応し、ダウンタイムを最小限に抑えつつ、競争力を維持している企業の事例をご紹介します。